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沢井 友次; 田淵 正幸*; 若井 栄一; 菱沼 章道
Proceedings of Materials Research Society Symposium, Vol.650, p.R3.9.1 - R3.9.6, 2001/00
高温用構造材料であるTiAl金属間化合物に10at%以上のVを添加することにより、金属組織中に新たに相を発生させ、これにより引張延性の飛躍的な向上を実現することができた。引張延性の向上は特に600以上で著しい。Ti-35Al-15V合金では、そのミクロ組織はほとんど相から構成され、620を境にその引張伸びは約10%から60%へと大きく向上する。大きな伸びを示した引張試験片を破断後、透過電子顕微鏡で観察すると特異なミクロ組織が見いだされた。すなわち六方晶の粒とマトリクスとは異なった方位を有する新たな相の粒からなる多数の変形バンドが存在する。これらのバンド中の相(方位は2種類)とマトリクスの相は、変形バンド中の六方晶と(101)//(0001)h,[111]//[1210]hなる方位関係を有しており、塑性変形に対して加工誘起マルテンサイト変態の寄与が示唆される。また、Ti-30Al-10V合金では、600で60%以上の破断伸びを示したが、この材料をJRR-3Mで3.5e25n/cmの照射を行ったところ延性が大幅に低下した。400照射材を照射温度で試験するとほとんど延性しめさず破断し、600照射材では照射温度での試験では破断伸びは10%程度に低下している。特に400照射材を600で試験した場合でも顕著な延性の回復が見られなかったことから、照射欠陥による延性低下のほかに、相の相分解によってもろい相が発生していることが示唆される。
菱沼 章道; 田淵 正幸; 沢井 友次
Intermetallics, 7(8), p.875 - 879, 1999/00
被引用回数:10 パーセンタイル:59.54(Chemistry, Physical)一般に金属間化合物は、高比強度、高比剛性、高耐食性などの優れた特性を有するものの、室温延性、靭性に乏しいため、すなわち脆いことが障害となってこれまで実用材料には至っていない。本研究では、まったく新しい取り組みとして、従来のL10と呼ばれる規則格子のTiAlをベースにバナジウムを添加することによって、さらに対称性の高いB2結晶構造を有する相を発生させることにより、その最大の欠点である室温延性を飛躍的に向上させ、しかも強度特性も従来材料に比べて著しい高い値を有する合金の製造に成功した。その値は、従来のTiAl金属合金化合物に比べて数倍の室温延性と約2倍の強度を併せ持つ優れた特性を示している。
牧田 知子*; 永澤 耿*; 森井 幸生; 皆川 宣明; 大野 英雄
Physica B; Condensed Matter, 213-214, p.430 - 432, 1995/00
被引用回数:16 パーセンタイル:67.97(Physics, Condensed Matter)AuZn合金は融点直下から広範囲の温度領域にわたってCsCl型規則構造(B構造)であり、これを冷却すると液体窒素温度付近、またはそれ以下の温度でマルテンサイト変態することが知られている。しかしこの合金に関する研究は少なく、マルテンサイト変態機構は勿論、マルテンサイトの結晶構造も明らかではない。これらの問題の解明は、相合金に生じるマルテンサイト変態の性質を統一的に理解するための基礎として重要である。この見地から、放射光及び中性子を用いて研究を行っているが、本研究では、プレマルテンサイト状態のフォノン分散、特に[110]TAフォノン分散の温度変化及びマルテンサイトの結晶構造に関する研究を行い、変態機構について議論した。